第51回「シールドトンネル工法施工技術」講習会

シールド工法
技術提案の新たなる試み

環境負荷を低減した泥水クローズドシステムによる
“長距離高水圧シールドの施工”

 地球環境保全のため、社会全般で様々な環境負荷低減活動が実施されており、建設業界においてもその目的に沿った施工方法の開発や採用が実施されている。
 今回の工事では、泥水式シールドで発生する建設汚泥に着目して計画した。海底下を含む深度50~30mまでの洪積粘土層から砂礫層に推移する地盤を約3250mシールド掘進し、産業廃棄物量削減という当初目的を達成する事ができた。
 本稿では、環境負荷を低減した泥水処理方法である泥水クローズドシステムの紹介と、本工事でのNOMST掘進や大規模開削工事直下の横断掘進、縦横シールド機への到達及び特殊覆工などの事例もあわせて紹介する。

 (株)鴻池組 大阪本店 此花シールド工事事務所 工事主任  大村 英士

大断面親子シールドによる地下鉄建設の施工例
-副都心線 (地下鉄13号線)南池袋A線工区-

 都市機能の整備にあたり、施工環境からの制約がますます厳しくなる中、輻輳した施工条件を克服するシールドトンネル技術が必要である。一方で工期短縮、コスト縮減、工事に伴う周辺環境への影響抑制という社会的ニーズへの対応が求められている。
 副都心線(池袋~渋谷間の延長8.9km)南池袋A線工区シールドは、1台のシール機で、駅ホーム部をトンネル内に構築するのに必要なφ8.0m(以下、径は構築外径を表す)の駅トンネル部を掘削し、シールド機を縮小後、再発進し単線トンネル部(φ6.6m)を施工するもである。
 本稿では、親子シールド技術により断面の異なるトンネルを1台のシール機で施工した一例を報告する。

(株)大林組 地下鉄池袋JV工事事務所 所長  倉持 豊

坑内補助工法による急曲線施工(ICAM)

 近年、シールド工事において急曲線と呼ばれる曲線半径の非常に小さな線形を施工する工事が多くなっている。従来、曲線施工のためのシールド反力を確保する目的や、曲線施工に必要なシールド機周辺の余掘りの崩壊防止を目的として、地盤改良が必要と考えられていた。一方、近年の交通事情はますます悪化し、シールド路線上の道路交通状況、地下埋設物の状況、近隣建物等の工事施工環境によって、地上からの地盤改良工が大きな制約を受けることが増えてきている。こうした状況下、安全かつ確実に急曲線施工を行い、周辺に与える影響を最小限に抑えることができる補助工法の必要性が高まってきている。
 本稿では、急曲線施工の変遷を追い、さまざまな現場実践によって「坑内補助工法による急曲線施工」が確立し始めた事例を紹介する。ICAM 「(Inner Curve Assist Method) 」は、クレーショック+遅効性裏込注入+ミニパッカーの3つの施工組み合わせによる急曲線補助工法である。

(株)タック 常務取締役  加納 洋一

全線玉石混じり砂礫層1スパン(L=893m)を
人力によるビット交換なしで大井川横断

 本工事は、国営大井川用水農業水利事業の一環として、新しい大井川サイホン (仕上がり2400mm)を1級河川大井川河床下に泥土圧式シールド工法にて築造するものである。掘進距離はL=893mであり当初標準案では、河川内に築島後、地盤改良を行い途中1回の人力によるビット交換が必要とされていた。そこで今回、格納式ディスクカッタ方式の採用により、893mを一気に掘り抜く施工方法をVE提案し、採用に至った工事である。
 今回の掘進対象土層は全線玉石混じり砂礫層であるため、掘進当初より困難を極め、工期遅延も懸念された。そこで、掘進用添加材の変更を中心に、各種掘進効率の向上対策を実施した結果、無事貫通することができた。本稿では、その施工結果について報告する。

戸田建設(株) 名古屋支店 大井川サイホン作業所 所長  堀 昭

【JUC工法】によるトンネル坑内から分岐シールド発進
-先行シールドφ2900のR15m部よりφ2130分岐シールド-

 従来、シールドトンネルの分岐・接合は、長期間地上を占有する開削立坑から施工するか、トンネル内から施工する場合には特殊なシールド機や大規模な地盤改良工事を必要としていた。
 JUC工法 (Joints in Underground Conveniently :地下で便利に接合する)では、先行施工するトンネルに特殊セグメントを使用するだけで、通常のシールド機で分岐・接合箇所の施工が可能なため、立坑が不要となり、特殊なシールド機や地盤改良工事も不要あるいは削減できるので、地表部の開削や地下埋設物の切り回しなど、周辺環境への影響がなく、従来工法と比べ大幅な工期短縮と工 費節減が図れる。本稿では、JUC工法の概要とその施工実績について報告する。

三井住友建設(株) 東京支店 松原シールド作業所 副所長  神山 淳

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