第60回「シールド・トンネル工法施工技術講習会」

シールド “厳しさを克服”
–高品質へ向けての技術対応–

※本講習会は、土木学会「継続教育(CPD)プログラム」認定(CPD単位6.8)にて、2016年4月開催されました。

複合地盤における小断面長距離シールド施工

 愛知県では、東海大地震を見据えて「地震に強い水道づくり」の一環として、地震災害などの非常時に現存する浄水場系統間で水道水を融通するための連絡管(φ900mm)を整備する事業が進められている。本工事は、事業計画延長約24kmの内の約4km区間を泥水式シールド工法により連絡管布設用トンネルを築造するものである。
 本工事の特徴として、(1)掘削対象土質が砂層から粘性土層、砂礫層(巨礫を含む )、岩盤層(一軸圧縮強度197MN/m2)と変化に富んでいること、(2)JR東海道新幹線・在来線、国道一号線の重要構造物を横断すること、(3)掘進延長がL=3,743mの小断面(φ2000)長距離施工であること、が挙げられる
 本稿では、このような条件下における泥水式シールドの施工上の課題と対策および施工結果を報告する。

TSUCHIYA(株) 名古屋支社 特殊工事部 部長  横田 文好
TSUCHIYA(株) 豊橋シールド作業所 監理技術者  水越 貴久

泥水シールドによる軟弱地盤での重要構造物近接施工の影響抑制

 本工事は、東京都江東区の一部の浸水被害を軽減するため、江東区のほぼ中央に位置する木場公園内の発進立坑より流末となる江東ポンプ所手前までの約4.3kmに内径6.0mの雨水管を泥水式シールド工法にて建設するものである。
 本工事の特徴として、重要構造物との多数の近接施工、軟弱地盤での長距離施工、多数の急曲線施工、可燃性ガス賦存層の掘進などがある。中でも重要構造物との近接施工には、地下鉄線の約5m下の超近接施工(離隔1D以下)などをはじめ、布設ルートにはライフラインや橋梁などがあり、工事を円滑かつ安全に進めるためには、これらの重要構造物への影響抑制が重要な課題である。
 本稿では、江東幹線を施工する際の重要構造物との近接施工の影響抑制対策とその経過について報告する。

大豊建設(株) 東京支店 江東幹線シールド作業所 監理技術者  鈴木 高広

岩盤シールド工事の施工実績
岩盤シールドで風化岩層を掘進する際にとった掘進進捗低下防止対策

 本事業は福井県内における農業用水再編対策事業(地域用水機能増進型)であり、老朽化した開水路をパイプライン化し、農業用水の再編と配水システムの再構築を行うものである。
 本工事は、外径φ2,880mmの泥土圧式シールド機により、延長1,514mの風化岩層内に管路を構築 するものである。
 発進立坑部の岩盤性状とは異なり、掘進の初期段階からシールド機チャンバー内が閉塞するような粘性の高い地山や、玉石や粘土塊が排土に混在する地山に遭遇し、掘進に困難を極めた。そこで、掘進用添加材の変更や各種の進捗向上対策を実施し、進捗低下を防止して無事貫通することができた。また、カッタービットの交換位置は地上から地盤改良を行う設計であったが、シールド機内からの補助工法に変更して、道路占用せずに短期間でビット交換を行うことができた。
 本稿では、これらの施工実績について報告する。

前田建設工業(株) 北陸支店 高椋新江シールド作業所 工事課長  高本 賢司

難行した香港泥土圧シールド複合地盤掘削

 本報告は中国広東省広州市と香港西九龍地区を結ぶ高速鉄道(XRL:Express Rail Link)プロジェクトの一環で香港区域内約26kmのうち、当社が受注施工した2.35km区間のトンネル工事について述べるものである。シールド工事概要は、隣接工区へ向かう内径φ8.15m、延長2,350mの上下線トンネル工で、泥土圧シールド工法を採用した。
 シールド工事は、岩盤層と土砂層から構成される複合地盤に遭遇し、その施工は難行した。このような複合地盤におけるシールド掘進の事例は日本国内では希少である。一般に都市トンネル築造に代表されるシールド工法は沖積世・洪積世の砂質土層や粘性土層に適用され、岩盤層の掘削は多くの場合、NATMに代表される山岳トンネル工法が適用されるからである。
 本工事の地盤条件は国内の土砂層に類似した完全風化凝灰岩と岩盤に分類される硬質凝灰岩であり、その境界部には複合層が存在する。この複合地盤の施工は困難を極めた。切羽上半部に存在し、掘進時は進行性緩みを有する土砂層と下半部硬質岩盤の複合断面掘削は、多大な時間と対策を要した。
 本稿はその施工に臨んで得られた課題や問題点、およびその解決・対処経緯について紹介する。

五洋建設(株) 国際土木本部 香港XRL825工事所長 技術士(建設部門・上下水道部門)  山口 英

~全地盤対応型シールド~
カメレオンカッタ工法の開発

 シールド工法は、粘性土、砂、玉石混じり砂礫、軟岩に至るまで土質の適用範囲を拡げてきた。しかし、これらに対応するカッタビットは掘削する地盤によって異なるため、土質が著しく変化する長距離工事においては交換が不可欠である。これまで種類の異なるカッタビットの交換は地中に人が出て行っており、水圧の高い大深度や可燃性ガスが溶存するような地層ではとても危険な作業になる。
 弊社では、シールド機内から安全かつ迅速に全掘削位置に配置されたカッタビットの種類を変更する「カメレオンカッタ工法」を開発した。本稿では、基本技術である機械式ビット交換工法「トレール工法」の開発経過等を交え、本技術の概要について述べる。

飛島建設(株) 土木事業本部 土木事業統括部 機電G課長 技術士(建設部門)  西 明良
飛島建設(株) 土木事業本部 土木事業統括部 機電G主任  佐藤 琢磨

高水圧下の急曲線施工(R15m×2箇所)を含む砂地盤での掘進

 本工事は、名古屋市中村区中部流域の浸水対策として、上流工区(L=1487.1m)および下流工区(L=1090.5m)の2本のトンネルにて構成された雨水貯留管を泥土圧シールド工法(φ4,690)にて築造するものである。現在、下流工区の掘進が完了し、上流工区への掘進(平成28年2月上旬発進予定)への段取替えを実施している。本報文では、下流工区(土被り32.7~33.5m)における高水圧下での急曲線施工(R15m×2箇所)に対応するための計画と実績、砂地盤での胴締めや磨耗による高推力への対応、掘進後に判明したカッターおよびスクリューコンベア等の異常な磨耗や、アーバンリング工法による大口径立坑の施工などについて報告する。

(株)安藤・間 名古屋支店 中村中部雨水幹線作業所 副所長  伊藤 寛基

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