第62回「シールド・トンネル工法施工技術講習会」

高難度な施工下のシールド
“対応への具体策とその成果”

※本講習会は、土木学会「継続教育(CPD)プログラム」認定(CPD単位6.8)にて、2018年4月に開催されました。

複合地盤での長距離泥水シールドの計画と施工
–工期短縮・建設汚泥発生量削減に向けた取り組み–

京都府では、桂川右岸流域の雨水浸水対策事業として河川が雨水で溢れる前に雨水を貯留するために、地下トンネル【いろは呑龍トンネル】の整備を平成7年度より行っている。事業総延長は、約9.2kmである。
今回の工事は、既設の北幹線管渠に続き、南幹線管渠として工事延長4,057mの長距離かつ掘削地盤が砂礫、砂、粘性土、岩盤の多様な複合地盤を泥水式シールド工法にて築造するものである。
さらに、粘性土区間での建設汚泥(脱水ケーキ)発生量を削減するため、画期的で効率的な泥水二次処理剤の自動添加システムを開発した。その結果、建設汚泥発生量、泥水二次処理剤使用量の大幅な削減が可能になり、環境負荷の軽減を達成することができた。これら難条件下での工期短縮とコストダウンを図る計画と施工実績について述べるものです。

西松建設(株) 西日本支社 洛西シールド出張所 所長・ 技術士  大石  浩
西松建設(株) 西日本支社 洛西シールド出張所 副所長  田口 雅章

1D土被りで半岩半土、さらに急曲線
難度の高い泥土圧シールドの施工

本工事は、横浜市緑区小山町西八朔地区の浸水対策工事である。管渠吐出口である恩田川との高さ制約があるため、発進立坑から県道140号線の間の250mは土被りが2.4mと1Dを切る設計で、しかもシールド掘削面の下半は硬質土丹、上半は軟弱粘性土の地質構成である。県道部からはR=20mとR=15mの急曲線があり、新築民家至近の狭隘な交差点に設ける立坑に到達させる二次覆工省略型のシールドである。
本稿では、難度の高い施工条件をクリアする工夫と結果を中心に報告するものである。

(株)鴻池組 東京本店 西八朔シールド工事事務所長  安井 了一
(株)鴻池組 土木事業総轄本部 土木技術部 部長・技術士(建設部門) 林  茂郎

『ハーモニカ工法マルチタイプ』を採用したアンダーパスの築造工事実績

本工事は、圏央道桶川北本地区函渠その1工事のうち国道17号線の直下に延長42.5mのアンダーパスを築造したものである。施工場所は、5万台/日の交通量を有する国道17号線と県道の交差点部で、土被りは5~6mと小さく、地下埋設物も多数あり、周辺には大型商業ビル、大型鉄塔があり、国道の切り回しや路上での工事には多くの制約があった。そのため、非開削工法であるハーモニカ工法マルチタイプが初めて採用された。
本報告は、従来のハーモニカ工法を発展させたハーモニカ工法マルチタイプの施工実績について報告するものである。

大成建設(株) 関東支店 圏央道桶川北本地区函渠その1工事作業所 所長  片桐 年弥

~粘性土、砂質土から玉石混じり砂礫、硬質の花崗岩~を1台のシールド機で掘進

本工事は広島県呉市の市街地に布設された水道管の老朽化に伴い、泥土圧式シールド工法により、水道管の更新を図るものである。当該シールド機が通過する土層は、周囲の山体を形成する花崗岩とその上層の堆積土が主体となるため、岩盤や礫を破砕して掘削するローラーカッターと地山を掘削する切削型のカッタービットを通過土層に応じて使い分けることが重要となる。本稿では、掘進区間の一部で地盤の変化が著しく、結果として選択したカッタービットが不適切となり掘進不能となった経緯とともに、トラブルに対する復旧策と復旧以降においても懸念された地盤変化のリスクへの対応等を中心に報告する。

五洋建設(株) 二河シールド工事事務所 監理技術者  白田  修
五洋建設(株) 技術研究所 土木技術開発部長  藤原 正稔
五洋建設(株) 技術研究所 土木技術開発部 担当部長  山口 英樹

東京港海底部を横断する泥土圧シールドの坑内運搬方法と到達方法について

本工事は、東京港海底部の横断を含む全長約 1.9 kmを泥土圧シールド工法(外径φ12.2m)と開削工法により構築する道路トンネル工事である。全体工程の 約40%を占め、かつ不確定要素の多いシールド工事を工程通りに完了させることが重要であり、シールド掘進の効率を向上させることが求められた。また、シールドは東京港護岸から13mと近接した立坑への到達であったため出水のリスクも懸念された。
そこで、坑内の資機材の搬入・搬出が工程に大きな影響を及ぼすため、効率性の良いタイヤ方式を採用し、運搬車両の大型化かつ汎用性の高い車両を使用することで、シールド工事の工程を大幅に短縮した。また、シールド到達時に各種対策を行うことによって出水することなく到達することができた。
本稿では、これらの施工方法について報告する。

(株)大林組 東京港トンネルⅡJV工事事務所 工事長  福井 正章

下水道工事で大規模の凍結工法を採用したセグメント地中拡幅工事

東京都足立区千住地区の排水面積約70%の雨水は、泥水式シールド工法で構築された外径φ5500mm、内径φ4750mm、延長3.11kmの隅田川幹線により、発進立坑側からと到達立坑側から流下して、この幹線の発進立坑から約1.2kmのところで合流し、セグメント外径φ6350mm、内径φ5500mmのシールドトンネルで千住関屋ポンプ所へ流れ込む。
このトンネルは千住関屋ポンプ所から発進する外径φ6500mmのシールドにより構築され隅田川幹線に地中接合する。外径φ5500mmの雨水幹線に外径φ6500mmのシールドが接続するためには、雨水幹線を拡幅する必要がある。
本報告は、セグメント拡幅工事の概要および拡幅のための補助工法である凍結工法の施工について述べるものである。

東急建設(株) 土木本部 土木技術設計部 担当部長 工博・技術士  高松 伸行

立川断層を含む複合地盤の4kmを超える長距離泥土圧シールドの施工実績

本工事は、東京都水道局が進める送水管の二重化・ネットワーク化事業のうち多摩南北幹線第3工区のシールドトンネル工事である。掘削外径φ3,080mmの泥土圧式シールドであるが、施工延長がL=4,471mと長距離で、かつ掘削地盤は最大径300mm以上の玉石を含む礫層や、N値50以上の非常に硬い砂層および硬質な粘性土と多岐にわたり、掘進途中には立川断層の出現が予想された。
路線は交通量の激しい都道直下にあり地上を占用するビット交換作業は困難であった。また長距離施工に伴う掘進サイクルのタイムロスは約定工程を順守する上で抑制する必要があった。
本稿では、長距離施工にあたってのビット摩耗対策や、シールド仮設備計画について述べるとともに、その施工実績を報告する。

飛島建設(株) 首都圏土木支店 東大和シールド作業所 所長  藤田 敏治