第31回「最新の推進工法施工技術」講習会

最近の推進工事にみる“厳しさへの対応”

長距離・曲線推進が可能な小口径推進工法
「礫・玉石・岩盤」を克服するエースモールDL工法

近年、小口径推進工事は立坑用地の確保が困難、道路線形に応じた施工などの諸問題の解決が望まれ、その有効な手段として長距離・曲線推進の必要性が高まっている。また、同時にその適用地盤は礫・玉石、岩盤での非常に厳しい施工条件が要求されている。
エースモールDL工法は独自に開発した「位置計測システム」と「掘削・排土システム」によりこれらの課題を克服している。本工法は泥土圧方式であり「圧送排土方式」の採用により崩壊性地盤や礫・玉石地盤、中硬岩までの広範囲な土質において安定した推進を実現している。
本報告では本工法の技術概要と設計条件及びその特長を活かした施工事例を設計上の留意点を含め紹介する。

エースモール工法協会 事務局 技術担当  油木 政基
エースモール工法協会 事務局 技術担当  武村 秀

長距離・急曲線・大深度推進と管材

近年、推進工法は施工技術の急速な進歩・発展にともない、従来のシールド工法の領域である超長距離推進・超急曲線推進および多曲線推進から大深度推進に至るまで施工可能となり、下水をはじめ電力、ガス、通信、また最近では内圧管路の農業用水の分野まで実績を伸ばしています。
このように難易度の高い施工を行うには、使用する管材にも、より高い性能が求められています。工事の正否は施工技術は勿論、管材の選定が大きなウエイトを占めるので、本報告では厳しい条件下の推進に使用する管材の選定方法と、その管材について紹介する。

栗本コンクリート工業(株) 顧問  野邊 脩

巨礫地盤における長距離推進事例とその実態

(1)呼び径Φ1500mm,推進延長L=533.69m,高透水性巨礫地盤の施工技術の現状
(2)破砕型掘進機を用いた難条件下での施工実態
近年,推進工法は厳しい周辺環境や施工条件への要請が高まってきている。その中でも泥濃式推進工法は,切羽およびテールボイドの安定に優れていることから多種・多用な施工条件に適用されることが多く,現在では密閉型の推進工法の中で5割の施工シェアを占めるようになった(日本下水道管渠推進技術協会平成17年度調査)。
近年は,超流バランス式(泥濃式)においても破砕型掘進機を用いた急曲線・長距離の施工実績が増加しており,さらなる技術の追求を行いつつ,昨今の社会要求に対応できる工法の開発を行っている。
そこで本報告では、超流バランス式(泥濃式)を用いた高透水性巨礫地盤の施工事例と昨今の破砕型推進工法の実態について紹介する。

(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部設計計画課長  松元 文彦
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部積算係長  森田 智
九州大学大学院工学研究院 助教授(工博) 島田 英樹

推進工法(泥濃式)における適切な設計への提案

平成13年に設立したK-1推進工法は、巨礫・玉石層、岩盤層、無水層の難条件下で、長距離・急曲線施工等の施工事例が50件を越え、設計依頼も1600件を越えるようになり、現在も更なる施工・設計技術の向上を図っている。しかしながら近年の推進業界では、破砕型推進機技術の発展普及により以前に比べかなり難易度の高い施工を求められる事からトラブルも増加傾向にあると感じている。
当協会では、施工トラブル発生を未然に回避するため、設計段階では呼び径、土質条件、長距離、急曲線等の施工条件を十分に確認し、これまでの施工実績と照査して適切な設計を行うことに努めている。
本報告では施工事例を交え、現在の技術レベルでの適切な設計について提案するものである。

K-1推進工法協会 技術委員  林 茂郎
K-1推進工法協会 事務局員  檜皮 安弘

掘進機から地中障害物の切断・除去と
地盤改良を可能とした工法-DO-Jet工法

近年、上・下水道、電気・通信管路、パイプライン等の新設工事や更新工事においては、地中には埋設物が輻輳し、環境問題、交通規制などの問題からその大部分で非開削工法(シールド工法・推進工法)が採用されている。しかし、昔から繰り返し行われてきた様々なインフラ工事により、鋼矢板やH鋼などの仮設材料が残置されていることが多く、非開削工法(シールド工法・推進工法)で管渠を布設する場合、工事に重大な支障を及ぼしている。
このような問題に対処するため、超高圧ジェット水を多目的ノズルから噴射させて鋼材等の地中障害物を掘進機から非接触により切断・除去及び地盤改良が可能な新型掘進機(DO-Jet工法)の開発を進めてきた。
ここでは、DO-Jet工法の施工実績ならびに今後の課題等について報告する。

DO-Jet工法研究会 事務局長  後藤昭男
中黒建設(株)東京支店 取締役副支店長  大日方 英之