【トンネルリニューアル技術】
近年、覆工コンクリートの剥落事故が多発するようになり、コンクリートの施工品質、維持管理に対する感心が高まってきている。また、補修・補強する時期についても、各発注者により、判断基準が異なり、合理的な評価・判定手法が求められている。
ここでは、コンクリートの施工品質、維持管理の現状と各発注期間の判定基準について説明し、合理的な評価・判定手法の一つの試みとして、「Ground Mother」について述べる。
(株)熊谷組 土木事業本部 土木技術部 リニューアルグループ 部長 岩井 孝幸
(株)熊谷組 土木事業本部 土木設計部 地質・基礎グループ 副長 川越 健
(株)熊谷組 土木事業本部 トンネル技術部 副長 手塚 仁
現在、トンネル覆工コンクリート健全性診断は、各種の非破壊検査技術が利用されている。これらの診断方法の中、人力による打音診断が最も簡便で、機動性に優れており主流となっている。しかし、人力の打音診断では、複数人で作業が行われるため個人差が生じやすい。定量的な判断が難しく記録に残らない。また、作業環境の劣悪なトンネル内で長時間の作業を強いられる。等の問題が上げられる。
そこで、これらの問題を解決するため、打音診断機「ソニックマイスター」の開発を行った。本稿では、このシステムの特徴と診断結果について報告する。
大成建設(株) 技術センター 土木技術開発部 室長 川上 純
大成建設(株) 技術センター 土木技術開発部 課長 須田 健
大成建設(株) 技術センター 建築技術研究所 課長 田端 淳
トンネル覆工背面の空洞は、地山の緩みに伴い覆工コンクリートに曲げ荷重が作用することから、確実な裏込め注入が要求される。従来使用されてきた注入材料には、発泡モルタルや有機系発泡材料があるが、地山やコンクリート目地への漏洩、湧水下での分離抵抗性およびコスト等で課題があった。
本稿では、トンネル補修補強の概況を紹介するとともに、最近当社で開発実用化した1液性無機系材料による裏込め注入工法「スペースパック工法」の技術および施工事例等を報告する。
(株)大林組東京本社 土木技術本部 構造技術部 リニューアルグループ長 小澤 郁夫
(株)大林組東京本社 土木技術本部 構造技術部 コンクリート技術グループ長 新村 亮
近年、通行車両の大型化への対応や老朽化したトンネルのリニューアル等を目的として、トンネルの改築・拡幅工事が注目されてきている。こうした工事においては、改築・拡幅対象のトンネルが重要な路線上にあることが多く、工事期間中も道路を供用したいというニーズが強い。
北九州市の都市高速4号線の大蔵トンネルでは、都市高速という2車線の重交通を供用しながら、トンネルを2車線から3車線へ拡幅する工事を行った。
本稿では、本工事を通じて得られたトンネル活線拡幅工法に関する知見について、報告する。
(株)間組 九州支店 土木部 主任 多宝 徹
(株)間組 土木事業本部 トンネル統括部 部長 鈴木 雅行
近年コンクリート塊の剥落事故など、コンクリート構造物では、その耐力・耐久性が問題視されている。特にトンネル構造物においては内空断面の縮小を最小限に抑え、その機能を保持しながら既設覆工の補修・補強ができる技術の開発が待ち望まれていた。
本稿では、これらの問題を解決できるセメント系繊維補強材料による、トンネル構造物の新しい補修・補強工法である「REDEEM工法」の概要および施工事例を報告する。
鉄建建設(株) 九州支店 鳥越トンネル作業所 所長 白井 稔久
鉄建建設(株) エンジニアリング本部 技術研究所 主任研究員 山村 康夫
鉄建建設(株) エンジニアリング本部 技術研究所 主任研究員 柳 博文
鉄建建設(株) エンジニアリング本部 土木技術部 課長代理 畠中 保
トンネル構造物では、老朽化や地山変状等の内的・外的要因によるトンネル覆工の剥落、亀裂や変形等の変状が各所で報告されており、変状に対する適切な補修・補強を施しつつ、継続的に維持管理していくことが今後の重要な課題となっている。特に交通の主要インフラである鉄道や道路においては、交通機能の確保を前提に、補修・補強工法に対しても施工途中段階にて交通の障害とならない安全性が求められる。
ここでは、これらのトンネルを対象に、既設覆工内面に簡易な嵌合継手を備えた鋼製覆工板を内巻きし、薄肉の覆工を迅速に構築するトンネル補強工法について報告する。
新日本製鉄(株)エンジニアリング事業本部 水道施設部長(工学博士) 竹内 貴司
新日本製鉄(株)建材事業部 建材開発技術部マネジャー 広沢 規行