第46回「シールドトンネル工法施工技術」講習会
現在、都市トンネルの建設は、浅深部の既設構造物の輻輳化によりますます大深度化する傾向にある。また、過密な都市部では、立坑用地の確保が困難になり、長距離化や地上仮設のコンパクト化などのニーズが高まっている。
そういった背景のもと、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」が成立し、あらためて地下技術開発が注目されている。
本報告では、シールド工法の新しい施工技術で、シールドトンネル施工時にセグメント外周全体を止水性、耐久性に優れた防水シートで覆う技術「ラッピング工法」と地中トンネルから地上に向かってシールドマシンで掘り進む「上向きシールド工法」について、実績と今後の展開について述べるものである。
大成建設(株) 技術センター 土木技術開発部部長 栄 毅熾
大成建設(株) 技術センター 土木技術開発部係長 伊東 憲
大成建設(株) 技術センター 土木技術開発部主任 島田 哲治
近年、特に都市部における大深度の必要性が急増し、これに対応するシールドの大深度立坑の築造技術として、圧縮空気によって地下水の浸入を防ぐニューマチックケーソン工法が着目されている。従来、ケーソンは作業気圧が0.4MPa(水深40m相当)を超えると、生体への負担が増大するため採用できないというのが定説であった。しかし新技術の開発により掘削作業を地上から遠隔操作で行い、かつ掘削機械等のメンテナンス時の呼吸ガスとして圧縮空気の代わりにヘリウム・窒素・酸素の3種混合ガスを用いることで生体への負担を軽減し、0.7Mpaまで安全に効率よい施工が可能になっている。施工実績を踏まえた最新技術を報告する。
(株)白石 東京支店 技術工務部 部長 小田 章治
(株)白石 大阪支店 技術工務部 部長 鹿浦 純一
土圧式シールドの施工現場で発生した典型的な問題点を、土圧式シールドの原理に基づいて検討し、土圧式シールドの基本事項を再認識する機会とする
土圧式シールドの要素技術であるスクリューコンベヤの圧力保持の理論式を導き、スクリューコンベヤの設計諸値、保持圧力とコンベヤの長さ、および保持圧力とスクリュー運転条件の決定法などについて解説する。
さらに、大深度用土圧式シールドへの展開を目的にしたスクリュー排土装置、環境に配慮したスクリュー排土装置の例を提案する。
日立造船(株) 鉄構・建機事業本部 技師長(工学博士) 吉川 忠男
最近の岩盤トンネルでは、対象地盤によっては山岳トンネル工法のほかにシールド工法で施工される場合がある。
南熱海幹線管渠建設工事は、管渠延長3,007m、セグメント内径φ2,200mで対象地盤は多賀火山噴出物、湯ケ島層群、上多賀火山噴出物と変化する岩盤トンネル工事である。また、各々の地盤には膨張性鉱物や破砕帯の存在、高被圧水が確認されている。当工事ではこれらの厳しい施工条件を克服するために、地山の保持や覆工が即時に実施でき、推進力が大きく確保できる岩盤対応型の泥水加圧式シールド工法を選定した。
現在トンネルは施工中であり、本稿ではその途中経過を報告する。
鹿島建設(株) 横浜支店 南熱海JV工事事務所 所長 内園 正流
鹿島建設(株) 横浜支店 南熱海JV工事事務所 次長 池添 勝次
鹿島建設(株) 本社・機会部技術開発グループ 次長 佐々木 幸信
当工事は、大正14年に施工された中川横断水管橋を更新するものである。耐震性などを事前検討した結果、土被り約46mの大深度にシールドトンネルを施工し、内部に1500mm配水本管を敷設する構造となった。また、市街地での施工のため立坑用地が限られ、到達部分にR=14mの急曲線を含む線形となった。
本稿では、大深度ニューマチックケーソン工法(ヘリウム混合ガス採用)による発進立坑(深さ51.5m)圧入式オープンケーソン工法による到達立坑(深さ54.0m)および高水圧・急曲線シールド各々について、計画と施工状況を述べる。
清水建設(株) 高砂シールド作業所 所長(技術士) 須々田 嘉彦
清水建設(株) 土木本部 技術第2部 担当部長(技術士) 後藤 徹
清水建設(株) 土木東京支店 技術部 小川 卓
シールド掘進において、最も厳しい条件である玉石混じり砂礫層においてL=1,535mのシールド工事(泥土圧シールド、外径φ2,480m)を施工した。掘進を開始してみると、予想をはるかに超えるビット摩耗が観察され、当初計画のビット交換回数3回では貫通が極めて困難であると考えられた。そこで、ビット交換時に実施したシールド機の面板改造および各種掘進用添加材を中心に玉石混じり砂礫層掘進における施工上のポイントを述べる。
戸田建設(株) 名古屋支店 作業所長 玉川 義典
戸田建設(株) 名古屋支店 技術士(建設部門) 堀 昭