第66回「シールド・トンネル工法施工技術講習会」
※本講習会は土木学会「継続教育(CPDS)プログラム」認定(CPDS単位7)にて2025年10.11月に開催されました。
厚生労働省では、夏季の気温偏差上昇による熱中症対策の一貫として、労働安全衛生規則の一部を改正し、
6月1日から施行するとしている。また従来から坑内の温度は、労働安全衛生規則・第611条で37℃以下と定めている。発進基地となる防音ハウス内では、個々の作業で発生する有害ガス、蒸気、粉塵、機械設備の発生熱等があるため、個別作業エリアの最適換気を行う「立体メッシュ換気システム」により、換気効率を向上させ温度上昇の抑制を図った。
本稿ではこれらエリア別の温熱環境の改善効果と、法規制のあるセグメントシール貼り作業時に発生する有機溶剤蒸気の換気(開方式プッシュプル換気システム)について報告する。また、併せて坑内温度計測を実施し、地中熱の冷房効果を確認した。その効果を報告する。
ヤクモ株式会社 第二事業部 技術グループ 技術第一課
課長
木村 英樹
営業グループ 営業第一課
係長
佐々木 学
営業グループ 営業第一課
高橋 有沙
シールド工事の坑内測量はトンネルの施工精度を管理するために不可欠な業務である一方で、その手間と時間が職員の負担となっている。そこで筆者らは従来、2人で行っていた坑内測量を、自動追尾トータルステーションを機械操作することで、1人でも行えるワンマン測量システムを開発した。
本稿では、現場での従来の人為測量との比較検証を通じ、その省人化、時間短縮効果および有用性について報告をする。
飛島建設株式会社 土木本部 土木FSC 機電G 課長 佐藤 琢磨
姫路市汐入川才西川放水路幹線建設工事は、兵庫県姫路市の汐入川流域に位置する才川および才西川周辺地域の浸水被害の軽減を目的として、全長2,334mの雨水幹線をシールドと3本の推進で構築した。
本稿では、砂礫地盤でのシールド掘進、JR山陽本線の下越し、生産性向上を目的としたAIによるシールド機の
自動運転等について報告する。また、砂礫地盤において500mを超える長距離を掘進したφ1,500泥水式推進工法についても報告する。
清水建設株式会社 姫路市汐入川才西川放水路幹線建設工事 (元)現場代理人・監理技術者 星野 壮一
福岡市道路下⽔道局では、過去の⼤⾬による浸⽔被害を受け、天神周辺の⾬⽔管整備事業を進めている。本⼯事はその⼀環として、急曲線5箇所を含む延⻑635.1m区間にて、泥⼟圧シールドを掘進・地中到達することで、
⾬⽔管を築造するものである。⼀次覆⼯完了後には地上からの接続⼈孔があり、より正確な出来形品質管理が必要である。
本報告では、急曲線区間の線形確保、⽌⽔性向上、周辺への影響抑制対策と施⼯実績について報告する。
株式会社⼤林組 中部9号幹線JV⼯事事務所 ⼯事主任 ⼩林 峻也
横浜環状南線公田笠間トンネル工事では、外径15mの大断面トンネル2本を1台のシールド機を往復させて建設している(併設離隔1m)。
本稿では、先行トンネル施工における大断面シールドの掘進管理(塑性流動性確保、排土量管理等)、振動抑制対策などを紹介する。また、シールド掘進後にセグメントの一部を撤去し、非開削工法による切開きで地中拡幅を行う非常駐車帯設置工を無事完成させたので、これについても併せて報告する。
鹿島建設株式会社 東京土木支店 横環南公田笠間トンネルJV工事事務所 工事課長 有賀 大峰
本工事は、東京都足立区千住東~日ノ出町流域の雨水を、隅田川幹線を経由して千住関屋ポンプ所へ流す枝管を新設するシールド工事である。到達位置は東京都道461号吾妻橋伊興町線(墨堤通り)直下約40m付近に施工された既設管渠(隅田川幹線)である。既設管渠との接続方法は、立坑を省略して地中接合を実施可能なT-BOSS工法が
採用された。
本報告では、T-BOSS工法を用いた既設管切削および接合時の出水対策などの施工実績について報告する。
西松建設株式会社 関東土木支社 峯尾 勇治