第28回「最新の推進工法施工技術」講習会
ここ数年、推進技術の進歩は著しいものがあります。近年の傾向として推進距離の長大化があります。長距離推進施工に対応するため周面摩擦力の低減に注目した工法が多数開発されています。当システムでは周辺摩擦力の低減手段として推力の伝達状況に着目し、周辺摩擦力増大範囲の特定を行うことにより低推力を維持し長距離推進を可能にしました。推力の伝達状況をリアルタイムで収集・表示を行う推力検知システムによる情報化施工により低推力を維持しつつ地山の土質変化に即応し確実な推進施工を可能とするトータルシステムと言えます。
本稿ではDKIシステムの推力低減方法を適用事例を交えて紹介します。
●推進最大口径(φ3000)における日本最長距離推進(791m)事例
●急勾配(6.5%)における長距離推進事例
DKIシステム研究会 事務局長 佐藤 文雄
(大日本土木(株)土木本部 エンジニアリング部)
推進力の低減を可能とした管周混合推進工法を開発し、工法協会を設立して普及活動に入ってから6年が経過した。この間、着実に施工実績を積んできている。最近では1kmを超える元押し推進も施工しており、累計で約7万mの実績となっている。
平成14年には、管周混合推進工法とは異なった工法原理で、管周固化推進工法なるものを開発しており、より安全な長距離推進を目指している
今回は、この両工法による施工事例を併せ紹介する。
●管周混合推進工法(泥水式)による、φ1650、L=971mの元押し推進
●管周混合推進工法(泥水式)による、φ1350、L=1010mの元押し推進
●管周固化推進工法(泥土圧式)による、φ1500、L=828mの元押し推進
(株)福田組 技術部 部長 石塚 千司
推進工法に対する市場からの要望は日々拡大し続けている。その背景は地域住民に対する配慮、環境保全、既設埋設物の輻輳化や移設の困難さ、経済性の追求などがある。その結果が施工条件の拡大、広範囲な土質条件への対応性、特殊線形の計画等に反映されてきた。
超流バランスセミシールド工法ではそのような要望に応えるため、急曲線造成技術や長距離推進技術の確立、複合曲線の安定施工、多曲線施工や推進方向が 90度を超える方向変換の確実な施工法等の確立を目指し、今後、要求されるであろう多くの課題を想定して、実証実験や実施工の結果からの検証を行った。その内容について報告する。
(株)アルファシビルエンジニアリング 開発本部長 酒井 栄治
■長距離・急曲線・高水圧の施工からの考察■
近年推進工法は、さまざまな条件に対応するために各協会や各施工業者が安全性を重視し、最良の工法や創意工夫を凝らし開発に勤しんでいる。その中で、推進技術の進歩は著しく適用範囲が拡大し、工事の低コスト化でも注目されている長距離・急曲線・高水圧の技術的に困難な施工においては、推進管の継ぎ手性能が推進工事にとってとても重要になっている。今回は、施工事例を紹介しながら推進工事における管継ぎ手機能の重要性について述べる。
機動建設工業(株) 東京支社 土木部 工事課長 舩橋 透
本工事は、首都高速中央環状新宿線建設工事のうち、豊島区要町交差点の地下鉄有楽町線直下に設置されるトンネル送気ダクトを泥土圧推進工法(内径φ3,000mm、延長72m×4本、回収型推進機)にて施工するものである。
本稿では、土かぶり29.2m、有楽町線直下、推進管相互の離隔0.5mといった厳しい条件での4連推進施工と、掘削より発生する泥土を一体の施工システム内にて瞬時に建設発生土として取扱うことが可能な品質(第4種建設発生土以上)に改質する泥土のリサイクル施工について報告する。
(株)フジタ 首都圏土木支店 首都高要町作業所 所長 藤森 一弘
(株)フジタ 首都圏土木支店 首都高要町作業所 有馬 均
(株)フジタ 土木本部 土木技術統括部 次長(技術士) 大井 隆資
本工事は、21世紀中国最大プロジェクトの1つとされる、新彊ウイグル自治区から上海まで中国を横断するガスパイプライン敷設工事、この工事の最重要ポイントとされている黄河を横断する工事で、推進延長3600mを3スパンで施工し、最大推進延長は日本でも例の無い1259mの長距離推進工事である。
黄河河床では玉石混じり礫(最大400mm)、硬質粘土及び透水性が高い砂等の瓦層(一部流木も含む)土質である。この工事における推進機、滑材及び付帯装置の選定、施工結果について報告する。
ラサ工業(株) 機械事業部 羽犬塚工場 次長 坂田 加六