第30回「最新の推進工法施工技術」講習会
小口径管推進工法が開発されてわずか四半世紀で、その施工技術水準は今や世界に冠たるものと認められています。アイアンモール工法はその老舗工法として活躍しています。
アイアンモール工法は軟弱地盤から玉石混じりの砂礫層・岩盤掘削に対応するよう開発されてきましたが、近年、広範囲に対応できる工法として特に岩盤掘削にはさらに難度の高い掘削が要求されてきています。
そうした中、旧態依然のトラブルに加え、難条件下での施工トラブル事例が増えてきており、そのトラブル現象とその設計・施工上の要因、そしてその対応策について総合的に報告します。
青木あすなろ建設(株) 技術本部 技術部 担当課長 酒井 宏
近年、発達の著しいCCDカメラとLED発光ダイオードを使用し、大きなトランシットに代わり狭い管渠内における測量方法を確立した【カーブモール工法】、これにより地下埋設物、鉄道の軌道下、交通量の多い道路下、土被りの深い場所など外部要因に左右されない小口径の曲線測量が出来るようになりました。また、特殊な滑材注入管を使い推進管外周の摩擦を軽減することによって長距離推進が可能になりました。
本報告では、カーブモール工法の技術説明と施工事例の紹介をいたします。
カーブモール協会 技術担当【(株)渡守建設 専務取締役】 濱田 十郎
都推進工法は、短距離でかつ線形を直線として実施されてきたが、近年の技術開発の進展とともに1000mを超える長距離化や曲線半径20m以下の急曲線施工も見受けられるようになった。また、多岐に亘る土質への適用拡大、呼び径では組立式推進管と分割組立型の掘進機を適用することによって3000m超の大口径管推進も施工可能となった。
このように長距離。急曲線等が主になりつつある近年の推進状況をみると各種トラブルも増加傾向にあり、一旦トラブルに陥ると工程のみならず経済的にも多大な損失を被ることになる。
ここでは、推進工法による最近の事例と対応策を含め、本年3月までに施工した、超大口径推進工法【内径φ3500mm、推進延長L=187.6m、L=173.1m】を例に検討内容と施工結果について述べる。
(株)奥村組 東京支社 機械部 工務課 藪ノ 和洋
シールド工事の発進立坑の省面積化と環境保全、コスト縮減をめざして開発された省面積立坑システムを推進工事に適用を計画した。
既に、施工実績として3件あり、省面積化、環境保全、コスト低減に寄与している。さらに長距離化する推進工事(1000m)の作業環境の維持、向上をめざした技術、環境保全を目的とした礫対応型固形回収推進機についても述べ、具体的計画例での従来工法とお比較を示す。
戸田建設(株) 東京支店 土木部 機電課長 岩井 義雄
デュアルシールド工法は、推進工法とシールド工法の長所を取り入れて両者を融合した管路構築工法で、推進工法の容易さとシールド工法の高い信頼性を併せ持っています。推進工法を併用することで、従来困難とされた仕上り内径1000mmからの小さな口径のシールド施工を可能としています。また、シールド機に推進工法用の掘進機を用いると同時に、最小限の掘削断面で経済的な管路の構築を可能としています。さらに長距離推進を併用することで全体コストを大幅に縮減することも可能です。
今回、東京都の発注による管径φ1800mm、延長約290mの下水道工事を紹介します。本工事は、最初に160mを推進工法で施工した後、後半にR=12mの急曲線部を含む約130m区間をセグメントを組み立てるシールド工法に切り替えるものです。
デュアルシールド工法協会 技術委員【(株)福田組 土木事業部 技術部部長】 石塚 千司
(株)大本組 東京支店 谷川幹線作業所 現場代理人 大村 新吾
(株)大本組 土木本部 技術部 技術課課長 神田 浩志
推泥濃式推進工法は、切羽安定理論をテールポイドに適用し固結滑材で長期安定維持
・センターシャフト駆動のスポークカッター
・ピンチバルブによる礫の丸取りと真空排土等を特徴として開発され、低推力とクリアランスの維持により長距離・急曲線推進を可能とした。
近年では、礫破砕型の開発や泥水材の改良もあり、従来施工不可能とされていた巨礫層・無水層施工や砂礫層での長距離急曲線施工も行われるようになった。
しかしながら、(社)日本下水道管渠推進技術協会編集の「設計・積算要領」と各工法協会では施工能力、材料・数量で異なる点も多い。また、改訂された管外圧強度・推進伝達での耐荷力減少・目地開口の算定方法等、管材の算定にも解釈の相違が多々みられる。
他の工法協会にも協力をいただき、無水層施工・急曲線施工等の設計・施工例における問題点と対策を考える。
進和技術開発(株) 営業部 積算課課長 井上 雅文