第32回「最新の推進工法施工技術」講習会
デュアルシールド工法は、推進工法とシールド工法の長所を取り入れて両者を融合した管路構築工法で、推進工法の容易さとシールド工法の高い信頼性を併せ持っています。推進工法を併用することで、従来困難とされた内径1000mmからの小さな口径のシールド施工を可能としています(φ1000?φ3000適用)。また、シールド機に推進工法用の掘進機を用いると同時に、最小限の掘削断面で経済的な管路の構築を可能としています。さらに長距離推進を併用することで全体コストを大幅に縮減することも可能です。
今回、東京都の発注による管径φ1650、延長約441mの下水道工事の実績等を紹介します。本工事は、最初に推進工法で施工した後、後半はR10mの急曲線を含む区間をシールド工法に切り替えるものです。
近年、推進工法では数多くの施工実績が積まれ、長距離推進、急曲線推進、大口径推進が盛んに行われている。また、3000mmを超える超大口径管推進工法も施工されている。このような推進工法で最も重要な点は、切羽崩落、掘削土砂の過剰取り込み、裏込め注入不良による地盤変状を最小限に抑制し、推進管全体を確実に推進する必要がある。これらを実現するためには、推進管の周辺部の管周ボイドと称される部分に注入される滑材と称する充填材の選択が重要とされている。
本報告では、現在用いられている滑材の特性や管周ボイドの挙動が推進力に与える影響を、施工現場を通して検証した結果を踏まえ、より機能的で有効な材料についての研究経過を紹介する。
(株)協和エクシオ 事業開発部 課長(工博) 川合 孝
CMT工法は岩盤推進を基本として開発されました、そして様々な技術とアイデアで各種条件の推進を可能にしてまいりました。
長距離施工を考える時、ほとんどの場合、単一土質で終わることはありません、時には全く相反する土質にも対応していかなければなりません、さらにカッタービットの種類の変更や交換も必要となります、様々な局面に対応できなければ長距離推進は不可能となってしまいます。
過去の1kmの推進事例や現在施工中の1.47kmの推進事例を紹介します。
(株)推研 代表取締役社長 蒲田 洋
昨今のシールド工法における技術開発の発展と経済性の再評価により、一時、長距離化が押し進められた推進工法との比較検討はより一層明確化が求められています。また、特殊線形や標準的な土質を逸脱した特殊地盤への期待が地方都市への市場拡散に伴って増加し、改めて推進工法の特徴を再考しつつ、その適応性範囲を明確化することが工法従事者としての責任と考えています。
このような時期に、泥濃式推進工法は施工が開始されて25年になろうとしております。本報告はその過程においての管外周面抵抗値や線形及び推進延長の変遷から推進工法で施工可能な特殊線形、今後益々増加するであろう岩盤や巨礫が混入した特殊地盤での問題点や課題を明確化し、その適応性を探ってゆきたいと考えています。
(株)アルファシビルエンジニアリング 開発部門(工博・技術士) 酒井 栄治
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部門 松元 文彦
推進技術は超長距離・急曲線などの課題を克服しながら目覚ましい進歩を遂げてきましたが、「曲線推進におけるクッション材の用い方」については技術的対応が遅れていて、管割れ事故の報告がしばしばなされてきました。
このため日本下水道管渠推進技術協会では18年度技術講習会のテーマに取り上げ、また、同協会発行の積算要領にも「クッション材の選定は応力照査などして行う」必要性が盛り込まれました。
曲線推進において不可欠であるクッション材の選定・照査は、応力分散、継手の耐震評価、推進力中心の偏心など、幾つかの面から行わなければなりません。
これら問題点を容易に且つ一体的に行うべく開発し、多くの設計で実績を重ねてきた方法を紹介します。
NPO法人 マイクロサンプリング調査会 理事長 石橋 信利
元・(社)日本下水道管渠推進技術協会常務理事
(有)アイダイ 代表取締役 梅澤 幸雄(発表者)