第34回「最新の推進工法施工技術」講習会
近年、大都市における下水道などの管路建設において、計画路線上に既設構造物築造時の鋼矢板などの仮設物が残置されている場合があり、これらが工事の大きな障害になる事例が増えている。このような事例の中で周辺条件などから、障害物撤去のための立坑設置が困難な場合も多く、事業の実施が遅れる状況も発生している。
これらを解決する工法として、掘進機内から障害物を安全確実に撤去し、再掘進を可能にしたDAAPPI工法(着脱・再掘進型管路築造工法)を開発した。
本稿では、DAPPI工法の開発と施工実績を紹介する。
大豊建設(株) 東京支店 土木部 千住特殊推進作業所 監理技術者 藤井 実
近年、浸水対策として雨水貯留管工事が数多く施工されている.浸水対策事業においては、既設下水道からの流入管接続が必要不可決となる。
鳥取市片原シールドでは、設計・施工一括方式にて泥土圧シールド工法によるφ3500mmの雨水貯留管をL=1657m築造した。そして「近年開発されたケコムセグメント工法によるφ3000~3500mm接続マンホールの施工およびパイプリターン工法によるシールド本体への流入管接続工事を技術提案した」。
本稿では、その施工結果について報告する。
戸田建設(株) 広島支店 土木部 片原シールド作業所 所長 (技術士・建設部門) 堀 昭
近年の推進工事では、道路線形に合わせた曲線推進が一般的になり、以前はシールド工法で施工していたような急曲線や多曲線施工が可能となっている。また、都市部では地下利用の大深度化が進み、高い水圧条件に対応可能な工法や材料が求められているところである。
本報文では、許容外水圧0.2MPaの「Wジョイント管」と許容外水圧0.4MPaおよび0.6MPaの「高水密Wジョイント管」の水密性能への取り組みを、確認試験の結果を交えて報告するとともに、短い管を使用した急曲線推進の現場や高水密Wジョイント管を用い海底を推進した現場など、厳しい条件に挑戦した実績を紹介する。また、急曲線や大深度推進を行う上で管材の取り扱い上の留意点を述べる。
藤村ヒューム管(株) 開発部 開発課長 中村 勝則
クッション材の不適切選定(材質・厚さ・取付角度)がもたらす管破損事故への影響は意外に大きなものですが、広くは理解されていないように思われます。曲線推進でのポイントタッチによる管端部の挫屈損傷をはじめ、発進部における剪断クラック、直線部での掘進蛇行による端面挫屈(特に小口径)、曲線変局点(BC点、EC点)における推進力と押戻力の中心ズレによる剪断クラック、急曲線で短管使用の場合における周面抵抗による軸方向クラック(大口径)、推進力中心の過大偏心による胴折れ(小口径)、等々様々に影響しています。
複合超急曲線における推進力伝達設計の注意点や管破損事故の解析事例を紹介します。
NPO法人 マイクロサンプリング調査会 理事長 石橋 信利
(元・日本下水道管渠推進技術協会常務理事)(有)アイダイ 代表取締役 梅澤 幸雄(発表者)
1974年、3等分割の鉄筋コンクリートセグメントを使用する小口径シールド工法として第1号のミニシールド工事が竣工、今日までの35年間で800件。施工延長46万mを達成、単一工法としては稀有の施工実績を上げている。
本稿では、長距離・急曲線施工を高精度、低コストで実現する工法として広く信頼をいただいているミニシールド工法の最新の技術と、施工事例を紹介する。
ミニシールド工法研究会 技術委員 伊王野 良三
ミニシールド工法研究会 技術委員 中 猛
近年、推進工法の技術は進歩し、1kmを超える長距離推進や、R=15以下の急曲線推進が盛んに行われている。特に、日本国土特有の狭隘な施工環境では、限りなく道路線形に準じた長距離曲線路線や地下埋設物と近接した厳しい条件下での施工が増加している。
本稿では、過去に例を見ない厳しい施工事例として、
・φ1500、L=312m、R=18m×4カ所の超急曲線
・φ2400、L=481m、R=25mの大口径超急曲線推進
・φ1100、L=772m、8カーブの長距離多曲線推進
等を紹介し、その際の設計の留意点と施工結果について報告し、今後求められる推進技術等について述べる。
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部 技術課長 松元 文彦
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部 技術課長補佐 森田 智