第36回「最新の推進工法施工技術」講習会
※土木学会「継続教育(CPD)プログラム」認定(CPD単位6.7)にて、2011年10月に開催されました。
本工事は、半世紀前に建設された農業用水路老朽化に伴う国営両総土地改良事業に基づき、かんがい用水を供給する管水路を建設するためのリニューアル工事の一環として推進工法が採用された。
当工区は、JR大網駅付近の市街地で鉄道や道路、横断サイホンが存在し、また、水路に隣接して住宅やマンション、駐車場が密集しており、さらに、施工ヤードや水路沿いの工事用道路が確保できない等、非常に施工環境が輻輳して厳しい状況下である。そのため掘進距離L=787m(φ1500)の長距離推進工法が採用された工事である。
本工事は、当初より厳しい工期の中、初期の段階で想定外の木片の出現によって面盤が閉塞し日進量が低下した。本稿では、木片による閉塞解除を、推進機面盤に高圧水を噴射することにより除去した実績および長距離推進等について報告する。
戸田建設(株) 千葉支店 南部幹線用水路その47作業所 所長 水澤 陽介
2010年12月に下水道協会から「2010年版下水道推進工事の指針と解説」が発刊され、曲線推進における安全・確実な推進力伝達に関する事項が示され、今後の曲線推進工事計画・設計に当たっては、推進力伝達設計は避けて通れない事項となりました。しかしながら、推進力伝達に関する設計は、推進抵抗計算や側方反力に対する許容推進力のように条件を入力すれば数式により答えが求められるものではなく、シミュレーション法による条件設定・照査を繰り返しながら、適切な条件を求めていく方法によることが必要です。長距離多曲線化の厳しい施工環境で、推進力伝達の重要性が益々高まっている状況に鑑み、改めて曲線推進における推進力伝達設計のポイントや関連事項について解説します。
NPO法人
マイクロサンプリング 調査会 理事長 石橋 信利
(元・日本下水道管渠推進技術協会常務理事)
(有)アイダイ 代表取締役 梅澤 幸雄
現在の我が国の推進技術は世界でも有数のレベルに達しており、それは日本特有の複雑な地形、地層に応じた多種多様な推進工法の発達によって目覚ましい発展を遂げた。
特に泥濃式推進工法の開発、普及に伴って、施工延長の長距離化と線形の複雑化(急曲線、S字曲線等)は一段と加速された。特に急曲線施工においては、一番にその線形(曲線)の造形が可能な掘進機と、なおかつ止水性等の性能を踏まえて追随することが出来る推進管が必要となる。しかしながらこの二つがそろえば容易に急曲線施工ができるわけではなく、実施工に向けて様々な課題に対する検討と対策が求められる。
本稿ではN値3程度の軟弱地盤でS字超急曲線(R=11m、10m)の施工を実現するために行った事前検討とその施工実績について報告する。
(株)ハンシン建設 推進事業部 工事課長 福田 浩司
φ600mm 平面曲線R=90mと、縦断カーブVR=200mが重なる複合曲線施工において、勾配13.9%の下り施工を行った電磁波測量装置(ネオジャスト・システム)を備えた小口径高耐荷力泥水式一工程(ジャット工法)の紹介。
ムツゴロウや白石レンコンで有名な、佐賀県南部に位置する杵島郡白石町。表土約1.0m以下は全てN値=0の超軟弱土。構造改善による整備で埋もれたクリークや基礎杭などの地中障害物。掘進機の自沈や施工精度確保、障害物切削等の問題を抱えながら完工した9現場の施工着手前対応策と施工時の対策を紹介する。
ヤスダエンジニアリング(株) 開発部部長 濱田 十郎
ヤスダエンジニアリング(株) 設計部課長 富田 昌晴
岩盤:呼び径φ800mm,推進延長L=570.836m+256.932m,花崗岩(最大一軸圧縮強度159MPa)
完全防爆型:呼び径φ1200mm,推進延長L=570.69m,R=35+35+35+100+35+50+11.5+50
広島花崗岩と呼ばれる非常に硬質な地盤で、推進途中においてビット未交換で長距離推進を実現した施工例を元に、事前のビット摩耗検証、掘進機の選定、推進力の実態等の現場記録を紹介します。2つ目は千葉県のガス田地帯における長距離・超急曲線推進路線に対応した超流バランス式超急曲線掘進機の完全防爆システムの施工事例について、事前のリスク評価や掘進機の選定および検討課題とその対策、その他、推進力の実態等について紹介します。
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部部長代理 松元 文彦
(株)アルファシビルエンジニアリング 技術部積算課長 森田 智
推進管は曲線部で接合部が開口するため推進力伝達面積が減少する。複数曲線では曲線を通過する度に推進力伝達材の圧縮箇所が増加するため、さらに推進力伝達面積が減少する。そのために、軸方向耐荷力が低下して複数の曲線通過後の推進距離は短くなる。多曲線で曲線通過後に長く推進するには摩擦力の低減に加え、耐荷力が高い推進管の選択が重要であるが、設計においては曲線通過後の推進可能距離を把握することが重要であり、これには施工時の推進力の予測が必須となる。
コスミック工法の推進力算定式と、その根拠となる管周面抵抗力および曲線推進力算定式を解説し、施工事例として従来の中押しを使用できない急曲線を約90度曲がった後383.8m推進した現場の設計と施工を報告する。
コスミック工法協会 技術委員長 作原 陽一